それでいい

本と映画を中心とした何か、気が向いたものだけ

生きるぼくら 原田マハ

24歳ニート、旅に出る。結構泣いてしまった作品。

僕が感じたのは只々、生きることはとても難しく、とても簡単だという一見矛盾した事実です。一人で生きてはいけない、しかし人と生きることは現代では大変難しい。ただし、一歩だけ踏み出してしまえば、あとは簡単だということです。

高校といえどそれぞれは利他の関係を基に人間関係を結ぶことがある。それはおそらく肉体的な(性的な意味ではなく)繋がりが希薄だからなのではないでしょうか。一緒に汗水を垂らして何かを作るという経験が少ないからではないでしょうか。多くの人はホワイトカラーの仕事を目指す。情報化機械化が進む社会では当然の傾向です。だからこそ物理的な何かを作る経験が必要なのかもしれません。何かを汗水垂らして(涙でもいいと思いますが)作ることは、必ず衝突が伴い、相手の心に入ることになります。

今作では生きることすら捨ててしまった人生が、生きることを学びながらつぼみやマーサさんたちの心に入り、入られ立ち直るまでのお話。はっきり言ってここまで書いたのは僕の妄想ですが、個人としてはそのように感じました。妄想を連ねるなら、おにぎりの作り方の対比もそういったことと対応しているのかなと思ったり。